その日限りのシンデレラ

大きな通りに面している 高層住宅たち
その中の「幸せ」を 僕は知る術もない


そんなことなんて考えていない いつもの通り道
煙草に火をつける


高層住宅の入り口 ひとり立っている女性
明らかに不自然だ
「誰かを待っている?」
僕のことを? まさかね
ただ目が合ったそのとき 彼女は笑顔だった たしかに


始まらない物語 始められない物語
きっとこのことなんて 明日の朝には忘れてしまうだろう


ただあの時 動揺していた
淡い期待と後悔を 胸に抱きながら


もう一度会うことができたなら
その続きははじめられるだろうか…
限りなくちいさい可能性は
未来の「本当の人」への道しるべなのかなと思った