あて先の無い手紙

創作を始めた当時、のモチーフはここに集約されるといっても過言じゃない。「誰か」に宛てた手紙。その誰かが具体化した瞬間を僕は一生忘れられずに生きていくだろう。雑踏の中で見つけた運命の人は、また雑踏へと消えていった。もともと、あて先の無い手紙だったのに、あなたに宛てた手紙へと変わって。元に戻るのは気が引ける。今でもそう。もう一人のあなたを探すということが前提になっている創作をやるくらいなら、ここにはいない心の中の失われたあなたのために作品を書き続けるだろう。